OJTとは何?目的やメリット、デメリット、OFF-JTとの違いを徹底解説

最終更新日:2025年6月2日
OJTとは?意味やメリット、進め方を具体例をもとに解説

OJT(On-the-Job Training)は、企業における人材育成の重要な手法です。実際の業務を通じて、従業員のスキルや知識を向上させる効果的な方法として広く活用されています。本記事では、OJTの意味やメリット、具体的な進め方について詳しく解説します。

OJTとは

OJT(On-the-Job Training)とは、実際の職場で日常の業務を通じて行われる教育訓練のことを指します。従業員が実務に携わりながら、必要なスキルや知識を習得していく方法です。

OFF-JTとの違い

OJTとOFF-JTは、企業における代表的な教育訓練方法ですが、その特徴には大きな違いがあります。これらの違いを理解し、企業の状況や目的に応じて適切な教育訓練方法を選択することが重要です。

項目 OJT OFF-JT
実施環境 実際の職場で行われる 職場を離れた場所(研修室など)で行われる
訓練内容 実際の業務を通じた実践的な訓練 座学や講義中心の理論的な学習
指導者 上司や先輩社員が指導 専門のトレーナーや外部講師が担当
期間 日常的・継続的に実施 特定の期間や時間を設けて実施
柔軟性 個々の従業員のペースに合わせて調整可能 一定のカリキュラムに沿って進行

OJTを実施する目的

OJTを実施する主な目的は、従業員の能力開発と組織の生産性向上です。具体的には以下の3つが挙げられます。

実践的なスキル習得

OJTの最も重要な目的の一つは、従業員が実際の業務を通じて実践的なスキルを習得することです。座学だけでは得られない現場のノウハウや経験を積むことができ、即戦力となる人材を育成することができます。

組織への適応促進

新入社員や異動してきた従業員が、組織の文化や業務プロセスに早く馴染むことを促進します。実際の業務を通じて組織の雰囲気や仕事の進め方を学ぶことで、スムーズな適応が可能になります。

継続的な能力向上

OJTは一時的なものではなく、継続的に実施されることで従業員の能力を常に向上させることができます。業務の変化や新しい技術の導入にも柔軟に対応できる人材を育成することができます。

OJTを実施するメリットとは

OJTを実施することで、企業と従業員の双方に様々なメリットがあります。以下に主な4つのメリットを紹介します。

実践的なスキル習得

OJTでは実際の業務を通じて学ぶため、座学だけでは得られない実践的なスキルを効果的に習得できます。理論と実践を同時に学ぶことで、より深い理解と即戦力となるスキルを身につけることができます。

コスト効率の良さ

外部研修や専門のトレーナーを雇う必要がないため、比較的低コストで実施できます。また、業務を行いながら学ぶため、研修のための時間を別途設ける必要がなく、生産性を維持しながら教育を行えます。

個別指導の実現

従業員一人ひとりの能力や進捗に合わせて、柔軟に指導内容や方法を調整できます。これにより、個々の従業員の成長速度に合わせた効果的な教育が可能になります。

組織の活性化

先輩社員が後輩を指導することで、指導する側も自身の知識やスキルを再確認し、向上させる機会となります。また、世代間のコミュニケーションが活発になり、組織全体の活性化につながります。

OJTを実施するデメリット

OJTには多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。これらを認識し、適切に対処することが重要です。

指導者の負担増加

OJTを実施する上司や先輩社員は、自身の業務に加えて指導も行う必要があるため、負担が増加します。これにより、指導者の業務効率が低下する可能性があります。

指導の質のばらつき

指導者によって指導スキルや経験が異なるため、教育の質にばらつきが生じる可能性があります。統一された指導方法や基準がない場合、従業員間で習得するスキルや知識に差が出る可能性があります。

悪習の伝播リスク

指導者の不適切な業務習慣や考え方が、指導を受ける側に伝わってしまう可能性があります。これにより、組織全体の業務効率や品質が低下するリスクがあります。

時間がかかる

OJTは実務を通じて学ぶため、短期間で大量の知識やスキルを習得することは難しい場合があります。特に、複雑な業務や高度なスキルの習得には時間がかかる可能性があります。

OJT担当者の役割

OJT担当者は、新入社員や新しいメンバーを組織の戦力として育成する重要な役割を担います。OJTリーダーは、新人社員に仕事を教えるだけでなく、職場での人間関係などに関わる相談や仕事以外の相談にも応じるなど、いわゆるメンターとしての役割も求められます。

育成計画の策定

OJT担当者の最初の役割は、指導対象者がどのような姿になってほしいのかを考え、具体的な育成計画を作成することです。育成計画には、習得すべきスキル、達成期限、評価方法、中間目標などを具体的に記載する必要があります。

実務指導とスキル伝授

新入社員に対して業務の知識やスキルを習得させることも、OJT担当者の重要な役割です。OJTは実務を通してマンツーマンで指導する人材育成手法であり、新入社員の質問に対しても正確かつ迅速に答えなければいけません。

メンタルサポートとモチベーション向上

業務に対するモチベーションを高めるのも、OJT担当者の重要な役割といえます。特に最近は終身雇用制度の崩壊に伴う人材の流動化によって、転職のハードルが低くなっていることから、業務に不安を感じてしまい早期離職する人も少なくありません。

組織との橋渡し

OJT担当者は、新入社員と組織を結ぶ重要な架け橋の役割も果たします。組織の文化や価値観を伝え、新入社員が組織に適応できるようサポートすることが求められます。

OJT担当者に向いてる人の特徴

OJT担当者として成功するためには、業務スキルだけでなく、指導に適した特性を持つことが重要です。以下のような特徴を持つ人がOJT担当者に向いています。

コミュニケーション能力が高い

OJTは新入社員とマンツーマンで指導するため、良好な関係を構築することが不可欠です。普段から周囲とコミュニケーションを活発に取っている人が、OJT担当者に向いているといえるでしょう。相手の話を聞く力と、分かりやすく説明する力の両方が求められます。

教える意欲と忍耐力がある

指導には時間がかかり、同じことを何度も教える場面もあります。面倒見がよい、周りによく気が付く、問いかけが上手といった人物は、OJT担当者に適しています。新入社員の成長を見守り、支援することに喜びを感じられる人が理想的です。

業務に精通している

OJT担当者は業務について正確で深い知識を持っている必要があります。新入社員からの質問に適切に答えられ、業務の背景や目的まで説明できることが重要です。ただし、業務スキルが高いだけでは不十分で、それを他者に伝える能力も必要です。

客観的な視点を持っている

自分の業務を客観的に振り返り、整理して伝えることができる人がOJT担当者に適しています。リフレクションスキルがあるOJT担当者は自身の指導を振り返り、次の指導に活かせるのがメリットです。

OJTの進め方

効果的なOJTを実施するためには、適切な手順で進めることが重要です。以下に、OJTの基本的な4つのステップを紹介します。

1. 計画立案

OJTを始める前に、具体的な計画を立てます。以下の点を考慮しましょう。

  • 目標設定:何を、どこまで学ばせるかを明確にする
  • 期間設定:いつまでに目標を達成するかを決める
  • 指導者の選定:適切な指導者を選ぶ
  • 指導内容の決定:具体的な指導内容や方法を決める

2. 事前準備

OJTを円滑に進めるための準備を行います。

  • 指導者への説明:目標や指導方法について共有
  • 教材の準備:必要なマニュアルや資料を用意
  • 環境整備:指導に適した環境を整える

3. 実施

実際にOJTを実施します。以下の点に注意しましょう。

  • 段階的な指導:簡単な作業から徐々に難しい作業へ
  • 実践と振り返り:実践後に必ず振り返りの時間を設ける
  • 進捗管理:定期的に進捗を確認し、必要に応じて計画を調整

4. 評価とフィードバック

OJTの効果を測定し、今後の改善につなげます。

  • 目標達成度の評価:設定した目標がどの程度達成されたかを評価
  • フィードバック:評価結果を本人に伝え、今後の課題を共有
  • 改善点の洗い出し:OJTの実施方法や内容の改善点を明確にする

OJTが失敗しやすい原因

OJTを効果的に実施するためには、いくつかの注意点があります。以下に主な4つの注意点を紹介します。

OJTに向いていない人を指導者に選定

適切な指導者を選ばないと、OJTの効果が大きく低下します。単に業務スキルが高いだけでなく、教える能力や忍耐力も考慮して指導者を選定しましょう。また、指導者に対する教育も必要です。

目標設定の不明確さ

具体的で測定可能な目標を設定しないと、OJTの進捗や成果を評価することが難しくなります。「○○ができるようになる」など、明確な目標を設定しましょう。

業務優先による指導不足

日常業務に追われ、OJTがおろそかになってしまうケースがあります。OJTの時間を確保し、計画的に実施することが重要です。必要に応じて、指導者の業務負荷を調整することも検討しましょう。

フォローアップの不足

OJT実施後のフォローアップが不十分だと、学んだことが定着しにくくなります。定期的な振り返りやフィードバック、実践の機会を設けることで、学習効果を高めることができます。]

OJT担当者を育成する方法

OJT担当者自身の育成も、効果的なOJTを実現するために不可欠です。自分はOJTに向いていないと思っている人も、OJTについて学ぶことによって対応できるようになるケースは少なくありません。

OJT担当者向け研修の実施

OJT担当者に必要なスキルを体系的に学ぶ研修を実施することが重要です。研修では、育成対象者を理解し、中途入社者が仕事の進め方や社内での対処につまずかないように、新しい組織での仕事の仕方・支援の仕方を学び、ロールプレイを通じて身につけます。

指導マニュアルの整備

統一された指導方法を確保するため、OJT担当者向けのマニュアルを作成します。研修プログラムでは、研修の内容だけでなく、期間や評価方法、合格基準などを具体的に設定しましょう。

メンタリングとフォロー体制

OJT担当者が悩みを相談できる環境を整備することが大切です。OJT担当者同士で定期的に集まる場を設けたり、上司や人事部が定期的に相談できる場を設けたりすることにより、安心して教育に取り組めます。

評価制度への組み込み

OJT担当者の育成業務を適切に評価する制度を設けることで、モチベーション向上につながります。育成にいくら時間をかけても評価されないとなれば、指導者はモチベーションを発揮できません。

OJTを成功させるためのコツ

OJTを効果的に実施し、成功させるためのコツをいくつか紹介します。

明確な目標設定

OJTの目的と達成すべき目標を明確にします。具体的で測定可能な目標を設定することで、指導者と学習者の双方が進捗を確認しやすくなります。

適切な指導者の選定

指導者には、高い業務スキルだけでなく、教える能力も求められます。コミュニケーション能力が高く、忍耐強い人材を選ぶことが重要です。

段階的な指導

簡単な作業から始めて、徐々に難しい作業へと移行していきます。学習者の理解度や進捗に合わせて、適切なペースで進めることが大切です。

定期的なフィードバック

日々の業務の中で、こまめにフィードバックを行います。良かった点は褒め、改善点は具体的にアドバイスすることで、効果的な学習を促進します。

実践と振り返りの繰り返し

実践後には必ず振り返りの時間を設け、学んだことを整理し、次の課題を明確にします。この過程を繰り返すことで、より深い理解と定着を図ります。

組織全体でのサポート

OJTは指導者と学習者だけでなく、組織全体で取り組む姿勢が重要です。周囲のメンバーも適宜サポートし、質問や相談がしやすい雰囲気を作ることが大切です。

OJTを実施する際に日報は必要?

OJTを実施する際に日報を活用することは、非常に効果的です。日報を通じて、学習者の進捗状況や理解度を把握し、適切な指導やフィードバックを行うことができます。

日報の活用方法:

  1. 学習内容の記録:その日に学んだこと、実践したことを記録します。
  2. 疑問点や課題の明確化:理解できなかった点や困難を感じた点を記入します。
  3. 振り返りと目標設定:学んだことを振り返り、次の目標を設定します。
  4. コミュニケーションツールとして:指導者とのコミュニケーションを促進します。
  5. 進捗管理:OJTの進捗状況を可視化し、計画の調整に活用します。

日報を効果的に活用することで、OJTの質を向上させ、より効果的な人材育成を実現することができます。

関連記事:OJTがうまくいく!日報で新人教育をする3つのコツ

まとめ

OJTは、実践的なスキルを効率的に習得できる重要な人材育成手法です。適切な計画と実施方法、そして注意点を押さえることで、効果的なOJTを実現することができます。

また、OJTの実施をサポートするツールとして、日報共有アプリ「gamba!」があります。gamba!を活用することで、OJTの進捗管理や指導者とのコミュニケーションをより円滑に行うことができます。効果的なOJT実施のために、ぜひgamba!の導入をご検討ください。

日報アプリgamba!公式サイト

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