令和版 いまどき新入社員の特徴と育て方【3つのポイントで成長を促す】
- いまどきの新入社員は何を考えているか分からない…
- なぜこんな動きをするんだろう?
- せっかく採用したのに3年以内に辞めてしまう
こんな悩みを抱えている教育担当者も多いのではないでしょうか。これらの悩みは、いまどきの新入社員の傾向をきちんと理解することが、キャリア開発や育成上の問題を解決するうえで重要です。
この記事では、いまどき新入社員の傾向と育成方法についてお伝えします。新入社員はもちろんのこと、若手社員育成にも役立ちます。
いまどき新人を読み解く3つの時代背景
いまどき新入社員の特徴を理解するために、彼らが育った時代背景をみていきましょう。
目次
個性をなくす学校教育
いまどきの新入社員は、小学校から”ゆとり教育”で育ちました。ゆとり教育の一番の弊害は、成績が「相対評価」から「絶対評価」へ切り替わったことです。相対評価はクラスの中でどの位置にいるか、”競争”がありました。しかし、絶対評価では教師の基準をクリアしていれば誰でも「5」や「4」がつくようになり、学校によっては「1」もつけなくなりました。つまり、1番を競うことが少なくなったのです。
対面からデジタルコミュニケーションへの変化
この時代の大きな変化は、デジタルツールやSNSの普及です。例えば2021年大卒者の1998年生まれで考えてみると、Appleが初代iPhoneを発表したのが小学3年生。SNSもYouTubeも当たり前にある環境で育っています。
対面コミュニケーションから文字でのコミュニケーションがメインになりました。文字のコミュニケーションは、周りの空気を読むことを優先するようになります。グループチャットで目立つ発言をしてしまうと、イジメの対象になるからです。
次第に彼らはなるべく目立たぬように過ごし、言いたいことは気心知れた一部の友人にのみ明かすようになっていきました。そのため、先輩や上司から見ると「何を考えているのかわからない」と思われるのです。
不安定な社会情勢
バブル崩壊後に生まれたいまどきの新入社員は、リーマン・ショックで会社が倒産したり、超円高による金融危機など、慢性的な不景気を目の当たりにしているため、とても現実主義です。公益財団法人日本生産性本部の平成31年度の新入社員働くことの意識調査によると、働く目的の1位は「楽しい生活がしたい」。「自分の能力を試したい」は下降傾向にあります。
また、「人並み以上に働きたいか?」という質問に対し、人並みで十分と答えた人が6割を超え、「人並み以上に働きたい」と答えた人が3割以下にとどまり、この差は年々大きくなっています。
令和版いまどき新入社員の特徴
指示されたこと以上はやらない
いまどきの新入社員は、受け身の傾向があります。そのため、指示されたことを”ほどほどのレベル”で卒なくこなします。この”ほどほどのレベル”というのが曲者です。
彼らは『人より評価されるよう、がむしゃら頑張って評価された』という体験をあまりしてきていないので、考え尽くしたり、力の限りやりきることが苦手です。そのため、「こんな感じでいいかな」と自分基準で終わらせてしまうことがあります。
「素直で返事は良いけど、言ったことしかやらないんだよな…気が回らないというかなんというか…」と思わず愚痴の一つも言いたくなるのはこのためです。
報連相が苦手
そんないまどきの新入社員ですが、人からどう思われるかに関してはとても敏感です。そのため、「こんなことを聞いて使えないヤツだと思われたりしないか…」と考えてしまい、以前と比べて報連相がスムーズにできない傾向があります。
「何も言ってこないから順調なんだろうな」と思っていたら実際は躓いていたり、ネットで検索して独自のやり方で進めてしまっていたなんてこともあります。この背景には、なんでもかんでも検索して自分では深く考えない癖がついていることにあります。
なんでもネットで検索するのが当たり前の彼らは、表面的な知識は豊富です。そのため自分は物知りだと思い込んでおり、人の意見を聞かずに自分の解釈で物事を考える傾向があります。「こうじゃないんだよなぁ、なんで理解できないかなぁ…オレの説明不足なのか?」と上司や先輩がモヤモヤとするのはこのためです。
自分を認めてくれる人にだけ心を開く
SNSと共に育ったいまどきの新入社員は、対面コミュニケーションがぐんと減りました。そのため、言いにくいことはメールで済ませるなどして、苦手な人との関係構築を避けることが容易くなりました。
いっぽうで、何でも言える心理的安全性が保たれた相手には「褒められたい、感謝されたい」といった承認欲求が人一倍強く、一生懸命貢献しようとします。つまり、「本当は人と深く繋がりたい…、でも怖くてできない…」という気持ちの板挟みになっています。
いまどき新入社員を育てる3つのコツ
面倒見の良い教育担当をつける
いまどきの新人は、「素直で真面目」です。指示された以上のことはやらないかもしれませんが、あらかじめ確認や合意をしておけば、その通り動いてくれる傾向があります。
そのため、「この人は信頼できる」「分かってもらえた」と判断すると、「この人の役に立ちたい!」という目的意識を持って頑張ることができます。承認欲求が強いので、自分を認めてくれたという安心感を得られたときに能力を発揮するのです。
裏を返せば、誰かのためになっているという意味が見いだせなければ、会社を辞めてしまいかねません。そのため、目的の明確化や意味づけが重要になってきます。
自分で考える癖をつけさせる
「正解はすぐに出るものではない。失敗しないと成功もしない。まず自分の頭で考えてみよう。その過程でわからないことは周囲に相談する。試行錯誤しながらPDCAサイクルを回していくことが大事なんだよ。」ということを伝えてあげましょう。
このように、いまどきの新入社員の短所に見えるところでも、捉え方を変えることで長所に変わります。短所を指摘するだけの指導から、長所を伸ばす関わりへと変えることができるでしょう。
新入社員の成長を促す方法
いまどきの新入社員がモチベーション高く仕事に取り組むために、「このためなら頑張れる」という目的を持たせてあげましょう。目的を言語化できれば、主体性も育まれます。
オススメの方法が『日報』です。日報は、自分の行動や考えを文字に落とせる一番シンプルな内省手段です。振り返りの習慣が身につくのはもちろんのこと、新たな気づきを得たり、問題意識を持って行動できるようになります。さらに、目標に対していま自分がどこにいるのかも明確になります。
新入社員の成長を促す日報のテンプレートはPDCAが大事
新入社員を育成するには、PDCAサイクルを回せるテンプレートを設定すると良いでしょう。どうやって進めればよいかを自分で考え(Plan)、行動し(Do)、振り返り(Check)、次に活かす(Act)、というサイクルです。
実践を通じて得た学びをもとに、どうしたら次はうまくいくのかを自分で考えさせることで、主体性を持たせることができます。事実や考えを言語化できないと、顧客への提案もできません。
その点、毎日日報を書けば表現力の引き出しが増えて、文章力が身につきます。とはいえ、これらは新入社員が1人で行うのではありません。上司や教育担当者と一緒に振り返ることが重要です。
PDCAサイクルを仕組み化した日報テンプレート
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日報を通じてコミュニケーションを図る
ビジネス経験が少ない若手社員は、ちょっとしたアドバイスや情報に、仕事をうまく進めるきっかけを求めています。ぜひ、毎日の日報にコメントしてあげましょう。『ありがとう』『よくやった』『助かるよ』と励ましの言葉をかけたり、一緒に改善策を考えるのもいいでしょう。
そうすることで、「上司はちゃんと自分を見てくれている」と安心し、承認欲求も満たされます。日頃からきちんとコミュニケーションが取れていれば、アドバイスも素直に聞き入れられるようになります。
いまどきの新入社員は、優越感に浸ろうとして褒められたいのではありません。ずっと横ばいの社会で育ってきているため、ちょっとでも失敗したら自分は必要なくなってしまうのではないかという危機感があります。だから、「君の居場所はここだよ」と認めてもらいたいのです。
日報は新入社員の心理状態が見える
毎日日報を読んでいると、新入社員のちょっとした変化も日報から読み取れるようになります。例えば、日報の内容が濃かったのに薄くなってきた場合、そこには3つの原因が考えられます。
- 忙しすぎる
- モチベーションが落ちている
- 怠慢
その変化に気付くことができればすぐにフォローできるので、突然退職するということもありません。理想的なのは、チームや職場の全員で日報を共有すること。みんなで新入社員の業務進捗を確認するだけでなく、コミュニケーションを円滑にし、抱えている悩みの内面的なケアも可能になります。
日報でコミュニケーション活性化
いまどきの新入社員が持っている特徴を「短所」と決めつけず、新入社員の想いやヤル気に目を向けて、可能性を伸ばしていきましょう。
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