勤怠管理と効率化する方法とは?管理項目やシステム導入事例を紹介!

最終更新日:2025年4月8日

従業員の勤務状況を正確に把握し、適切に管理することは企業にとって非常に重要な業務です。しかし、従来の紙ベースの勤怠管理では多くの時間と労力を要し、ヒューマンエラーのリスクも高くなります。本記事では、勤怠管理の基本から効率化の方法、システム導入によるメリットや活用事例まで詳しく解説します。働き方改革やテレワークの普及により、より効率的で正確な勤怠管理が求められる今、ぜひ参考にしてください。

勤怠管理とは?

勤怠管理とは、従業員の出退勤時間や休憩時間、休暇取得状況などの勤務状況を記録・管理することです。単なる労働時間の記録だけでなく、労働基準法に準拠した労務管理や、従業員の働き方の最適化、生産性向上のための重要なデータとしても活用されています。近年では、従来の紙のタイムカードやエクセルによる管理から、クラウド型の勤怠管理システムへと移行する企業が増加しており、より効率的、かつ正確な勤怠データの管理が可能になっています。

勤怠管理における管理項目

勤怠管理では、以下のような項目を適切に記録・管理することが重要です。

  1. 基本的な勤怠情報:出勤時間、退勤時間、休憩時間
  2. 休暇情報:有給休暇、特別休暇、欠勤、遅刻、早退
  3. 勤務形態:通常勤務、時差勤務、フレックスタイム、シフト勤務
  4. 時間外労働:残業時間、休日出勤、深夜労働
  5. 法定管理項目:36協定の遵守状況、割増賃金の計算基礎
  6. その他:在宅勤務、出張、外出などの特殊な勤務状況

これらの項目を正確に記録し、適切に集計・分析することで、労務管理の適正化や業務効率の向上につなげることができます。

参考記事:働き方改革で何が変わる?

労働基準法の変更による勤怠管理への影響

近年の労働基準法改正により、勤怠管理の重要性はさらに高まっています。2019年4月から施行された「働き方改革関連法」では、時間外労働の上限規制や年次有給休暇の取得義務化、高度プロフェッショナル制度の創設などが定められました。

特に大きな影響を与えたのが、時間外労働の上限規制です。原則として月45時間、年360時間を上限とし、特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(複数月平均80時間)という具体的な上限が設定されました。これにより、企業は従業員の労働時間を正確に把握し、上限を超えないよう管理する必要が生じています。

また、年次有給休暇の取得義務化により、年10日以上の有給休暇が付与される従業員に対して、年5日は確実に取得させることが企業の義務となりました。この対応のためにも、正確な勤怠記録と有給休暇の取得状況の管理が不可欠です。

労働安全衛生法の変更による勤怠管理への影響

労働安全衛生法の改正も勤怠管理に大きな影響を与えています。2019年4月から施行された「労働時間の状況の把握義務」により、管理監督者や裁量労働制の適用者を含む全ての従業員の労働時間を、客観的な方法により把握することが義務付けられました。

具体的には、タイムカードやICカード、パソコンのログ記録等の客観的な記録を基礎として、労働時間を適正に把握することが求められています。これにより、従来はみなし労働時間制などで詳細な時間管理を行っていなかった従業員についても、実際の労働時間を把握する必要が生じました。

また、長時間労働者に対する医師による面接指導の基準も変更され、時間外・休日労働時間が月80時間を超えた労働者に対しては、申出があった場合に医師による面接指導を行うことが義務付けられています。このような健康管理のためにも、正確な勤怠記録が重要になっています。

勤怠管理の目的

勤怠管理は単なる出退勤の記録だけでなく、企業経営において様々な目的を持っています。労務管理の適正化から従業員の健康管理まで、多岐にわたる目的があります。

法令遵守の実現

勤怠管理の最も基本的な目的は、労働基準法をはじめとする労働関連法規の遵守です。労働時間の上限規制や休憩時間の確保、時間外労働に対する割増賃金の支払いなど、法令で定められた労働条件を守るためには、正確な勤怠記録が不可欠です。

特に近年は労働基準監督署による調査が厳格化しており、法令違反が発覚した場合には是正勧告や罰金などのペナルティを受ける可能性があります。また、法令違反が常態化していた場合、「ブラック企業」としての風評リスクも発生します。適切な勤怠管理により、これらのリスクを回避し、コンプライアンス経営を実現することができます。

業務効率化と生産性向上

勤怠データを分析することで、業務の効率化や生産性向上につなげることができます。例えば、特定の部署や時期に残業が集中している場合、業務の偏りや非効率な作業プロセスが存在している可能性があります。

また、勤怠データと業績データを組み合わせて分析することで、労働時間と生産性の関係を明らかにし、最適な人員配置や業務分担を実現することができます。このように、勤怠管理は単なる時間管理ではなく、経営戦略の一環として捉えることが重要です。

従業員の健康管理

長時間労働はメンタルヘルス不調や身体的な健康問題のリスク要因となります。正確な勤怠管理により、長時間労働者を早期に発見し、適切な健康管理措置を講じることができます。

例えば、月の時間外労働が一定時間を超えた従業員に対しては、産業医による面接指導を実施するなど、健康障害を未然に防ぐことが可能になります。また、勤怠データを分析することで、特定の部署や従業員に過度な負担がかかっていないかを把握し、適切な人員配置や業務分担の見直しを行うことができます。

勤怠管理を効率化させる方法

従来の紙ベースやエクセルによる勤怠管理から、より効率的なシステムへの移行が進んでいます。ここでは、勤怠管理を効率化するための具体的な方法を紹介します。

エクセルを活用した勤怠管理

中小企業などでは、エクセルを活用した勤怠管理が今でも広く行われています。エクセルの利点は、初期コストが低く、自社の勤務体系に合わせてカスタマイズしやすい点にあります。

効率的なエクセル勤怠管理のポイント:

  • 関数やマクロを活用して、自動計算や集計機能を実装する
  • 入力ミスを防ぐためのセル保護や入力規則の設定
  • 共有設定を活用し、複数人での同時編集や閲覧を可能にする
  • ピボットテーブルなどを活用したデータ分析

ただし、エクセル管理にはデータの改ざんリスクや、規模拡大に伴う管理の複雑化などのデメリットも存在します。一定規模以上の企業では、専用の勤怠管理システムの導入を検討することをおすすめします。

勤怠管理システムの導入

勤怠管理システムを導入することで、打刻から集計、給与計算までの一連のプロセスを自動化することができます。クラウド型の勤怠管理システムであれば、場所を選ばず利用でき、テレワークにも対応可能です。

勤怠管理システム選定のポイント:

  • 自社の勤務体系(シフト制、フレックスタイム等)に対応しているか
  • ICカードやスマートフォンなど、打刻方法の利便性
  • 給与計算システムとの連携が可能か
  • 従業員数の増減に柔軟に対応できるか
  • セキュリティ対策は十分か

システム導入の際は、現場の声を聞きながら、実際の業務フローに合ったシステムを選定することが重要です。また、導入後のサポート体制も重要な選定ポイントとなります。

データの見える化と分析

勤怠データを「見える化」することで、労務管理の課題を早期に発見し、対策を講じることができます。勤怠管理システムの多くは、グラフやチャートなどのビジュアル機能を備えており、データを直感的に理解することが可能です。

データ分析の活用例:

  • 部署別・個人別の残業時間の推移を分析し、業務の偏りを把握
  • 休暇取得率の低い部署を特定し、働き方改革を推進
  • 勤務パターンと生産性の関係を分析し、最適な勤務体系を模索

データ分析により得られた知見を、人事施策や業務改善に活かすことで、労務コストの削減と従業員満足度の向上を両立させることができます。

勤怠管理をシステム化するメリット

勤怠管理をシステム化することで、様々なメリットが得られます。業務効率化だけでなく、法令遵守や従業員満足度の向上にもつながります。

紙の勤怠管理で発生していたコストの削減

紙ベースの勤怠管理では、タイムカードの購入費や保管スペースのコスト、手作業による集計・転記作業の人件費など、様々なコストが発生していました。システム化によりこれらのコストを大幅に削減することができます。

具体的なコスト削減効果:

  • タイムカードや出勤簿などの消耗品コストの削減
  • 手作業による集計・転記ミスの防止による再計算コストの削減
  • 勤怠データの保管・管理コストの削減
  • 勤怠管理担当者の業務時間短縮による人件費削減

ある製造業では、システム導入により勤怠管理にかかる作業時間が約80%削減され、担当者の労力が大幅に軽減されたという事例もあります。初期投資は必要ですが、長期的には大きなコスト削減効果が期待できます。

参考:ペーパーレスとは?メリット・デメリット

テレワーク対応

テレワークを導入する企業が急増しています。在宅勤務の場合、従来の打刻方法では勤怠管理が困難ですが、クラウド型の勤怠管理システムであれば、PCやスマートフォンから簡単に打刻することができます。

テレワーク時の勤怠管理のポイント:

  • リモートでの打刻が可能
  • 勤務状況の可視化によるコミュニケーションの円滑化
  • 労働時間の適正管理によるワークライフバランスの確保
  • セキュリティ対策の徹底

テレワーク環境下でも適切な勤怠管理を行うことで、従業員の働きやすさと生産性の両立を実現することができます。特に、勤務時間と休憩時間の明確な区別や、時間外労働の管理が重要になります。

参考:テレワークマネジメントの課題とは?成功するための3つのポイント

リアルタイムでの勤怠状況把握

勤怠管理システムでは、従業員の出退勤状況をリアルタイムで把握することができます。これにより、突発的な欠員が生じた場合の迅速な対応や、残業の兆候を早期に発見して対策を講じることが可能になります。

リアルタイム把握のメリット:

  • 人員不足の早期発見と対応
  • 残業発生の予防的管理
  • 勤務状況の透明性向上による公平な評価
  • 法令違反リスクの低減

特に複数拠点を持つ企業や、シフト制を採用している企業では、リアルタイムでの勤怠状況把握が業務運営の効率化に大きく貢献します。

人事評価の公平性向上

勤怠データは、人事評価の客観的な指標として活用することができます。出退勤の正確な記録だけでなく、時間外労働の状況や休暇取得状況なども、評価の参考情報となります。

人事評価への活用例:

  • 勤務態度(遅刻・早退の頻度など)の客観的評価
  • 業務効率(同じ成果を出すための労働時間)の比較
  • 部下の労働時間管理(マネジメント能力)の評価
  • ワークライフバランスの実現度(休暇取得率など)の評価

客観的なデータに基づく公平な評価を実施することで、従業員の納得感を高め、モチベーション向上につなげることができます。

勤怠管理システムの活用事例

勤怠管理システムは様々な業種・業態で活用されています。ここでは、当社のアプリ「gamba!」を活用しているお客様での活用事例を紹介します。gamba!では日報管理システムで、そのうちの使い方の一つとして簡易的な勤怠管理を行うことができます。
日報アプリgamba!:機能

製造業での活用事例

株式会社東和様では、gamba!を導入することで、社内の協力体制を強化しました。これにより、社員は自部署の利益だけでなく、他部署の状況を把握しながら業務を進めるようになりました。導入後、社内コミュニケーションが活性化し、出勤状況はもちろん、業務内容の共有がスムーズになりました。
特に、日報を通じて活動が整理されることで、報告内容が理解しやすくなり、上長が現場の状況を把握しやすくなりました。さらに、社員同士の協力が促進され、経理部門も営業チームの忙しい時期にサポートを行うなど、全体的な業務の効率化が実現しました。

株式会社東和様 導入事例:自部署の利益だけを気にしていた社員が他部署の状況を把握しながら働くように

小売業での活用事例

複数店舗を展開する小売業では、店舗ごとに異なるシフト管理と勤怠管理の一元化と、現場の状況把握を目的としてgamba!を導入しました。システム導入前は、各店舗がエクセルでシフト表を作成し、紙のタイムカードで勤怠を管理していたため、本部での集計作業に多大な労力を要していました。

システム導入後は、店舗スタッフがタブレットで簡単に出勤状況を共有できるようになりました。
また、繁忙期と閑散期のデータ分析により、最適な人員配置が可能になり、人件費の適正化と顧客サービスの向上を両立させることができました。

特に効果が大きかったのは、アルバイトスタッフの採用・教育コストの削減です。シフト管理の効率化により、既存スタッフの勤務時間を最適化することで、新規採用の必要性が減少し、採用・教育にかかるコストと時間を大幅に削減することができました。

IT企業での活用事例

テレワークを積極的に推進しているIT企業では、場所や時間に縛られない柔軟な働き方を実現するため、gamba!を導入しました。システム導入前は、オフィス勤務者はICカード、リモート勤務者はメールでの報告と、勤務形態によって管理方法が異なっていたため、一元管理が困難でした。

システム導入後は、勤務場所を問わず同一の方法で勤怠管理と業務把握ができるようになり、管理業務の効率化と公平性の確保を実現しました。

特に注目すべき効果は、従業員のワークライフバランスの向上です。フレキシブルな働き方が可能になったことで、育児や介護と仕事の両立がしやすくなり、優秀な人材の定着率向上にも貢献しています。

まとめ

勤怠管理は、単なる出退勤の記録にとどまらず、法令遵守や業務効率化、従業員の健康管理など、多様な目的を持つ重要な業務です。近年の労働関連法規の改正により、より厳格な勤怠管理が求められる中、システム化による効率化が進んでいます。

勤怠管理の効率化方法としては、エクセルの活用から専用システムの導入、データの見える化と分析まで、様々なアプローチがあります。特に勤怠管理システムの導入は、紙の勤怠管理で発生していたコストの削減や、テレワーク対応、リアルタイムでの勤怠状況把握、人事評価の公平性向上など、多くのメリットをもたらします。

製造業、小売業、IT企業など、様々な業種での活用事例からも分かるように、勤怠管理システムは業種や企業規模を問わず、業務効率化と従業員満足度の向上に貢献しています。自社の勤務体系や業務フローに合ったシステムを選定し、効果的に活用することで、働き方改革の実現と企業競争力の強化につなげることができるでしょう。

勤怠管理の効率化は、企業の持続的な成長のための重要な投資であり、今後ますます重要性が高まる分野です。本記事を参考に、自社に適した勤怠管理の効率化を検討してみてはいかがでしょうか。

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