カルビーから学ぶ!やりすぎKPIは逆効果?本当に重要な指標に絞れ

最終更新日:2022年7月15日

KPI(重要業績評価指標)は、目標達成に欠かせない指標です。KPIマネジメントをやっている、あるいはやったことがあるという人もたくさんいるかもしれません。

ところが、たくさんのKPIを設定してしまうと本来重視すべき目標数値が見えなくなってしまい、逆効果になることも。代表的なのが、かっぱえびせんでおなじみのカルビー株式会社。

カルビーは3,000個ものKPIを設定してしまった結果、本質を見失なってしまったという経験談を明かしています。そこで今回は、カルビーの事例を元に、KPI設定の際に重要な指標を絞り込む重要性を考えてみましょう。

やりすぎKPIの悪循環にはまったカルビーの事例

かつてカルビーは、なんと3000に及ぶKPを設定していました。

「売上げと利益」「時間当たり生産性」といったKPIはもちろんのこと、現場スタッフの細かな行動にまでKPIを設定していたのです。

 

カルビーの細かすぎるKPIの一例

  • クレーム発生率(PPM)
  • 店頭鮮度率(製造から45日を経過した商品が小売店の店頭に並ぶ比率)
  • 業務改善提案件数及びそれを説明するための行動指標
  • 店頭での販促状況を表す販促実施店率

これらの項目を、エリア別、製品群別などに細分化してKPIを設定していました。

中でも問題だったのは、KPIの達成率を社員の業績評価の対象にしたこと。それによって、恣意的にデータを変える担当者が出てきてしまいました。例えば、「店頭鮮度率を改善するために、古い商品を買い取る」、という行為です。

そうすれば、店頭に鮮度の落ちた商品はなくなるわけですから、担当者の業績評価はよくなります。しかし、本当の売上アップにはつながりません。行き過ぎたKPI達成至上主義により、「自分のKPIだけがよくなればいい」という考えが蔓延ったのです。

一般的に、KPIを現場レベルに落とし込んで管理することは、収益性を高めます。ただし、やりすぎたKPI管理は、本来目指すべきゴールを見失わせ、企業を危機に貶める危険性があることを理解しておきましょう。

KPIの基本的な意味についてはこちら➡ KPIとは何か?わかりやすく解説

 

 

KPIで大事なのは『プロセス』より『結果』

2009年、カルビーはKPIによる業績評価制度を廃止しました。その結果、2009年に3%台だった営業利益率は、2015年には約11%台までに向上。さらに、収益低迷で市場シェアを10%近く落としたポテトチップスも、現在はシェアを以前と同様の75%にまで回復させたのです。

成功要因は、プロセス重視の評価をやめ、結果を評価するようになったことにあります。

例えば、営業が店頭でどれだけ販促活動したのかを図る「販促実施店率」。今までは「数多く販促活動を実施すること(プロセス)」を目的に設定されたものでした。それを、「活動回数と売上率から割り出したKPI(結果)」にしたのです。

そうすることで、『販促を行なうことでどれだけ売上貢献できたか・店頭の活性化に貢献できたか?』という本来の目的に立ち返ることができ、結果的に営業が現場に足を運び、顧客接点を積極的に増やすようになりました。

 

参考:カルビー決算説明会資料

 

あなたの会社は大丈夫?本当に重要な指標を見極めるには

KPIの目的はゴールの達成

本当に重要な指標を見極めるためには、何のためにKPIを設定するのかを明確にすることが欠かせません。カルビーは、営業を対象にしたKPI設定を行うアドバイスとして以下の3点を挙げています。

  • 自ら集めるのではなく客観的に集められるデータをKPIにすること
  • 業績への影響度の大きな指標をKPIにすること
  • 指標の追跡や達成のための工数やコストを考慮に入れること

 

KPIの達成はあくまで手段に過ぎません。目的は、売上や利益など本来の組織のゴールを達成すること。達成するべき目的に沿ったKPIを見極めることが大切です。

KPIを設定することでデータを集計すること自体が目的化してしまったり、業績貢献の小さなものまでKPIを設定していないか、きちんと吟味しましょう

 

本当に必要なKPIは、「現場の状況」が分かる指標だけ

特に工数とコストについて。「ビジネスの活動単位でコストを算出する」という視点は見落とされがちです。たとえどんなに頑張っても、お客様からのクレームはゼロにはなりません。ゼロコンマ数%のクレーム発生率を改善するために、もっと大切な活動を犠牲にしてしまっては、会社全体としてマイナスです

カルビーは現在、利益と売上、原価率、人件費などのKPIを設定し、最大20個以内と決めています。新たな指標を追加する場合は、既存の指標を棚卸しするルールにしました。本当に必要なKPIは、「現場の状況」が分かる指標だけで良いのです。

具体的なKPI項目についてはこちら➡【業種別】KPI目標をご紹介

 

まとめ

企業にとって売上が最も重要であることを知らないスタッフはいません。しかし、具体的な行動まで細かくKPI設定しすぎると、現場のスタッフは本来の目標を見失ってしまいます。

また、KPIの達成だけが目的化し、本来の目標に反する行動を取るしかなくなってしまうリスクも生じます。KPIは現場の状況が分かる程度にとどめましょう。

 

 
 

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