業界別DXについて、取り組み事例や実績などを紹介！
DXとは
DX（デジタルトランスフォーメーション）とは、デジタル技術を活用してビジネスモデル、組織、プロセス、企業文化・風土を抜本的に変革し、新たな価値を創出することで、企業の競争力強化や持続的な成長を目指す取り組みです。
単なるITツールの導入や業務の電子化（デジタイゼーション、デジタライゼーション）とは異なり、デジタル技術によってビジネスの仕組みそのものを変えることに主眼が置かれています。
経済産業省は、日本経済が「2025年の崖」を乗り越えるためにDX推進が不可欠であると提唱しています。
変化の激しい市場において、顧客視点での新たな価値提供や、社会課題の解決、生産性向上などを実現するための重要な経営戦略です。
DXとデジタライゼーション・デジタイゼーションとの違い
DX（デジタルトランスフォーメーション）とは、デジタル技術を活用し、企業のビジネスモデル、業務プロセス、組織文化・風土などを根底から変革することで、新たな価値を創出し、競争優位性を確立し、持続的な成長を目指す取り組みです。
単に業務を効率化するためのITツール導入や電子化とは本質的に異なります。
一方、デジタイゼーションは、アナログ情報をデジタルデータに変換することです。例えば、紙の書類をスキャンしてPDFにするなどが該当し、業務の効率化の第一歩となります。
デジタライゼーションは、デジタイゼーションによって得られたデジタルデータを活用し、既存の業務プロセスや個々の業務をデジタル技術によって効率化・最適化する段階です。
例えば、顧客データを分析してマーケティング施策を改善することなどが挙げられます。
つまり、デジタイゼーションとデジタライゼーションは、既存のビジネスや業務を部分的に効率化する経営施策であることに対し、
DXは、デジタル技術によってビジネスそのものの在り方など全体的な変革を召さず経営戦略で、
顧客視点での新たな価値提供や、市場の変化への迅速な対応、新たなビジネスモデルの創出などを目指す取り組みであると言えます。
DXを推進するためには、経営層の強いコミットメント、全社的な体制整備、そして既存のIT資産の分析・評価などが重要になります。
各業界に及ぼした影響と導入事例について
それぞれの業界においてDXをすることでどのような影響があるか具体例を挙げて紹介していきます。
製造業
製造業では、品質の向上や経費の削減のためにDXが導入されます。
人手不足は深刻であり、人手不足の改善や製造コストの削減が急務とされています。
人手不足の課題に対するアプローチはそれぞれ異なっていくので、何をすべきか明確にした上で、活用できるシステムを選定することが重要です。
例えば、IoTセンサーを活用した設備の待機時間の削減や、AIによる品質検査の自動化などがあります。また、作業手順のデジタル化によるノウハウの共有や、ロボット導入による省人化も重要な取り組みです。
中小企業においては後継者含めての人材不足でそもそもの会社存続に対して、業務効率化が事業承継の一助となる可能性もあります。
小売・流通・卸売業界
小売・流通・卸売業界では、顧客体験の向上と業務効率化がDXの主な目的となります。
例えば、ECサイトと実店舗の連携強化（OMO戦略）による顧客体験の向上や、AIを活用した需要予測による在庫最適化などが挙げられます。
また、デジタル技術を活用した商品管理の効率化や、モバイルオーダーシステムによる省人化も進んでいます。
顧客データの分析に基づいたパーソナライズされたマーケティングや、サプライチェーン全体の可視化による無駄の削減も重要な取り組みです。
これらのDX推進においては、取引先とのコミュニケーションや顧客の属性などを考慮して推進していくことが重要です。
金融・保険業界
金融・保険業界はDXが進んでいる部分とセキュリティによって阻まれている部分の両側面がある業界です。
例えば、オンラインでの各種手続きの実現や、AIチャットボットによる顧客対応の効率化、RPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）による事務作業の自動化などが挙げられます。
また、フィンテック企業との連携による新しい金融サービスの創出や、ビッグデータ分析によるリスク管理の高度化、パーソナライズされた金融商品の提案なども重要な取り組みです。
セキュリティ対策を講じた上で顧客の利便性向上とデータ活用が競争力強化の鍵となります。
IT・情報・通信業界
IT・情報・通信業界は、DXの取り組みが最も進んでいる業界の一つです。
この業界では、自社が持つ高度なITシステム環境とデジタル技術に関する豊富な知見・人材を活かし、常に新しい技術を取り入れたビジネスモデルの変革を推進しています。
例えば、クラウドサービスの開発・提供、AIを活用したソリューションの提供、ビッグデータ解析サービスの提供などが挙げられます。
また、アジャイル開発やDevOpsといった迅速なサービス提供体制の構築や、リモートワークの推進など、自社の働き方改革も積極的に行っています。
交通・運輸業界
交通・運輸業界におけるDXは、運行の効率化、安全性の向上、顧客サービスの向上を目的として進められています。
例えば、AIを活用した最適な運行ルート及び運航スケジュールの算出による燃料費削減や時間短縮、車両や設備の保守管理の効率化などが挙げられます。
また、タクシーをはじめ、スマートフォンのアプリを活用した予約・決済システムの導入や、リアルタイムでの運行状況の提供による顧客満足度の向上も重要な取り組みです。
建設・不動産業界
建設・不動産業界は、他の業界と比較してDXが遅れている傾向があります。製造業と同じく、人手不足が業界全体として課題となっています。
そのため、生産性の向上、安全性向上を目的にDXの導入が進んでいます。
例えば、設計・施工プロセスの効率化や品質向上、ドローンやIoTセンサーを活用した現場管理の自動化などが挙げられます。
また、VR/AR技術を活用した物件の内覧や、オンラインでの契約手続きの導入による顧客体験の向上も進んでいます。現場以外のDXは比較的進んでいるので、現場のデジタル活用が進むと、データの分析による効率化や新たなサービスの創出も期待されています。
事例がうまくいった業界の類似点とは？
DXを上手く進めるためにはどのようなことに注意して進めていけばよいのか簡単に解説していきます。
DXがうまく行っている企業に共通する点はいくつかありますが、ここでは特に重要な2点とその理由を説明します。
明確なビジョンと経営層のコミットメント
DXを成功させている企業では、経営者が具体的な経営戦略やビジョンを明確に打ち出しています。
DXは単なる業務改革ではなく、ビジネスモデルや企業文化を含む抜本的な変革であるため、方向性を初期段階で明確にすることが、その後の具体的なアクションを検討する上で不可欠です。
また、経営トップ自身がDXにコミットメントし、リーダーシップを発揮して積極的に推進していくことが、プロジェクトを円滑に進める上で求められます。
経営層がDXの必要性を十分に説明することで、現場レベルでの説得や抵抗の抑制につながり、全社的な取り組みを可能にします。
段階的な推進
DXは全社的な変革を伴うため、最初から大きな目標を掲げて一気に進めようとすると、現場の抵抗や部門間の軋轢を生み、頓挫する可能性があります。
そのため、DXを成功させている企業では、全社規模でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みから着手する 傾向があります。
小さな成功事例を積み重ね、DXへの理解と共感を広げ、社員のDXへのモチベーションを高めることができます。
また、規模だけでなく、
①デジタイゼーション（アナログデータのデジタル化）
②デジタライゼーション（個々の業務プロセスのデジタル化）
③デジタルトランスフォーメーション（ビジネスモデルや組織全体の変革）
というように、段階を踏んで進める ことも重要です。小さな成功体験を積み重ねることで、より大きな変革への自信とノウハウを蓄積していくことができます。
まとめ
DX（デジタルトランスフォーメーション）は、デジタル技術を活用しビジネスモデルや組織文化を根本から変革する経営戦略です。
単なるIT化とは異なり、新たな価値創出を目指します。
例えば、「日報」のデジタル化は業務効率化（デジタイゼーション）の第一歩であり、DXへの足掛かりとなります。
DX推進を成功させるには、経営層の強いコミットメントと、小さな成功を積み重ねる段階的な導入が不可欠です。から始め、全社的なDXへ繋げましょう。
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