新入社員の育て方 |モチベーションを高める具体策とは?
- 新入社員のモチベーションが低くて困っている
- 採用したと思ったらすぐに辞めてしまう…
新人教育を担う多くの担当者が、イマドキの新入社員教育に頭を悩ませています。「だからゆとり世代はダメだ」「さとり世代は根性がない」と考えてしまいがちですが、新入社員が育たないのは、もしかすると育て方に問題があるのかもしれません。
新入社員をなるべく早く即戦力にするには、彼らの特徴をしっかりと把握し、育て方を工夫する必要があります。今回は、新入社員教育3つのポイントや具体的な指導方法について解説します。
イマドキの新入社員の特徴
新人教育担当の多くが、イマドキ新入社員との「当たり前」や「常識」に大きなギャップを感じます。そのため、新人の価値観や常識をふまえて新人教育を進めていく必要があります。
新入社員の育成を行う中で大切なことは、相手を知ること。イマドキの新入社員はどのような特性があるのでしょうか。
新入社員の特徴①失敗を恐れ否定を嫌う
イマドキの新入社員は、すぐにインターネットで検索する癖がついており、何かに悩んだときは自分で考えて行動するのではなく、まず調べたり、人に聞いてから行動するという習慣になっています。そのため、極端に失敗を恐れたり、簡単に正解が見つからない仕事
を嫌がるといった傾向があります。上司から「失敗は成功の元。まずは自分で考えて行動してみろ」と言われても、どうしていいかわからなくなります。また、SNSに慣れ親しんでるため、承認欲求が強い反面、叱られたり否定されることに極度の抵抗があります。
新入社員の特徴②対面でのコミュニケーションが苦手
ネットでのコミュニケーションが増えた分、面と向かってコミュニケーションをとる機会が少なかった、ということも特徴です。特に年齢や立場の違う人とコミュニケーションは苦手な傾向があります。
その反面、同期とはSNSですぐに繋がり打ち解けることができます。また、指示されたことに対する返事は良かったり、真面目に仕事をするのですが、場の空気を読んだり、上司の意向を察して行動することが苦手です。
新入社員の特徴③大卒の約30%が3年以内に離職
厚生労働省が発表している新規学卒就職者の離職状況(平成28年3月卒業者の状況)によると、大学を卒業した30%の新入社員が、3年以内に離職をしていることがわかります。また、業種別に見ると、「宿泊業・飲食サービス業」「生活関連サービス業・娯楽業」「教育・学習支援業」といったサービス業は40%以上と非常に高い離職率となっています。
新卒採用に費やした費用や工数が無駄になってしまうのは、企業としてもなんとか避けたいところ。そのためにも、しっかりと新人を育成していく必要があります。ここからは、新入社員育成の具体的なポイントを3つご紹介します。
新入社員の育成がうまくいく3つのポイント
①仕事の目的や全体像を理解させる
新入社員のやる気が奪われる理由の多くは、仕事をする意味を見失うこと。最初は地味で簡単な仕事の繰り返しのことが多いので、業務の全体像や目的が見えないと、単なる作業になってしまいます。
結果的に、やる気がある新入社員ほど「こんな仕事をするために、この会社に入社したわけではない」と考えてしまうのです。そのため、いま取り組んでいる仕事が、会社や本人にとってどういった意味を持つのか説明したり、将来の大きな仕事につながるのだ、ということを理解させましょう。そうすることで、新入社員に目的意識を持たせることができます。
②対話を交える
「一度しか言わないからよく聞いて」このセリフはプレッシャーをかけるだけです。途中でわからなくなってしまっても言い出せず、結果として大きなミスに発展する可能性があります。
例えば…
というセリフの方が、新入社員は落ち着いて説明を聞くことができます。
また、説明途中に
と聞いてあげましょう。そうすれば、何ができて何ができないかを把握しやすく、教える側も楽になります。説明した後に、理解した内容を自分の言葉で言ってもらうというのも良いでしょう。
③ステップを追って教える
「とりあえずこのマニュアル見てやって、わからなかったら聞きに来て。」と、突き放すようなやり方では、新入社員が辞めてしまうのも時間の問題でしょう。新人の理解度をヒアリングするためにも、ステップを踏んで教えることも大切です。
例えば…
という形で、一つずつ段階を追って教えましょう。新入社員もステップごとに「今日はこれができた」「これを覚えられた」と、自信をつけることができるでしょう。
また、新入社員がつまづきそうなポイントは事前に伝えてあげましょう。対応方法を事前に伝えておくと、新入社員が一人で悩むことなくスムーズに仕事を進めることができます。自分の失敗談があれば、それを話してあげるのも良いでしょう。
例えば…
と話せば、新人も説明が腹落ちするだけでなく、気持ちも楽になり場が和みます。こうした、話しかけやすい雰囲気を作ることで、新入社員も発言しやすくなり、積極性を促します。
新入社員のモチベーションを上げる方法
育成目標を設定する
育成目標を設定せず、単に教える側のスキル次第になってしまうような教え方では、3年以内に退職されてしまいます。いつまでに、どのくらいのレベルまで育てるのかを明確にしましょう。3ヶ月後、半年後、1年後といったように、育成目標を作ります。そして、それを会社や部署、チーム全体で共有しましょう。
「まずは半年目でこの程度はできるようになってもらおう」という共通理解が生まれます。そうすることで、教育担当者以外も声を掛けやすくなったり、新入社員への接し方に変化が出ます。『○○って書いてあったけど、大丈夫?』と話しかけるだけでも、新入社員は「この人は見てくれている。信頼できる」と感じるもの。
また、育成プランがあると、この会社は自分を大切に育ててくれようとしてくれている、自分に期待してくれている、と嬉しく感じます。さらに、いま自分がどこまで進んだかがわかるので、成長しているという実感を得ることができます。それは新入社員の大きなモチベーションとなるでしょう。
新入社員を着実に成長させる方法
日報で振り返る
上司や先輩から教わったことをメモにとるだけでは、成長できません。自分の言葉で記すことが大切です。言語化するのに最適なのが「日報」です。
日報は、自分の行動や考えを文字に落としてみるという、一番シンプルな内省手段です。1日を振り返ることで、新たな気づきを促進したり、問題意識を持ちながら仕事の進め方を改善できるようになります。また、目標に対していま自分がどこにいるのかも明確になります。
新入社員の成長を促す日報テンプレート
新入社員を育成するには、どうやって進めればよいかを自分で考えさせ(Plan)自分で行動し(Do)振り返り(Check)次に活かす(Act)という、いわゆるPDCAサイクルを回せるテンプレートを設定すると良いでしょう。
こうして毎日日報を書き続けると、表現力の引き出しが増えて、文章力がつきます。事実や考えを言語化できないと、顧客への提案もできません。
実践を通じて得た学びをもとに、どうしたら次はうまくいくのかを自分で考えさせることで、主体性を持たせることができます。とはいえ、これらは新入社員が1人で行うのではありません。上司や教育担当者と一緒に振り返ることが重要です。
日報を通じてコミュニケーションを図る
「日報=部下が上司に報告する」という一方通行のものだと思っていませんか?大切なのは、日報を通じてコミュニケーションを図ること。新入社員がPDCAを回せるように手助けをしてあげましょう。一番ベストな方法は、毎日日報にコメントしてあげること。
励ましの言葉をかけたり、一緒に改善策を考えるのもいいでしょう。そうすれば、「上司はちゃんと自分を見てくれている」と安心し、承認欲求も満たされます。日頃からきちんとコミュニケーションが取れていれば、アドバイスも素直に聞き入れることでしょう。
毎日日報を読んでいると、ちょっとした変化も日報から読み取れるようになります。例えば、日報の内容が濃かったのに薄くなってきた場合、そこには3つの原因が考えられます。
- 忙しすぎる
- モチベーションが落ちている
- 怠慢
その変化に気付くことができればすぐにフォローできるので、突然退職するということもありません。理想的なのは、チームや職場の全員で日報を共有すること。みんなで新入社員の業務の進み具合を確認するだけでなく、コミュニケーションを円滑にし、抱えている悩みなどの内面的なケアーも可能になります。
まとめ
新入社員を即戦力にしたいなら、まずは育成目標を設定しましょう。目標達成状況を把握するには、日報がオススメです。コミュニケーションを取りながら毎日の行動を振り返ることで、新入社員だけだけでなく、教育担当者も成長することができます。
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